いつの頃か、忘れそうな遠い日

その日はよく行くバーで飲んでいた。

バーテンも仲が良いので、だいたいの事は話してはいた。

タカポン
「いや〜なかなかK嬢のこと落とせないんだよね〜」

そんな話をしていると、バーのオーナーも登場した。
オーナーといっても年下で、まだ20代のイケメン社長

社長
「タカポンさん何言ってんすか〜何回もやっちゃってるんでしょ?

イコールこっちの勝ちじゃないですか〜

えっもしかして付き合いたいんですか?

ぜっっっっっっったいにやめた方がいいですよ。」

そう言われて、俺の中で何かが崩れた。

そう、いい年になるまですすきの遊びはほとんどしていなかっただけに
ここ2年くらいで一気に発散してきた。
アラサーになってからのすすきのデビューは
まさに端からみれば痛々しい現実だった。
ただそれに気付かせてくれた社長はやはり
若くして成功しているだけあって、話していても面白いし、気も使える。
頭も良い。そして180cm以上ある長身でイケメン。
なんなんだよそれ!なんでもかんでも持ち過ぎじゃん!
ちょっとは分けてくれよ!笑

そして根もいい奴だった。
実際本当に俺の事を思って、そんな話をしてくれたということは、誰よりもわかっていた。

そのバーにはけっこう仕事帰りにキャバ嬢やら風俗嬢なんかも来ていた。
アフターで使う嬢も結構多く客の7割くらいは女性客だった。

それだけ色々な夜の女達を見て来ているので社長の意見は
タカポン的には実に貴重な意見であった。
けっこう常連になっていたので他のお客さんとも仲良くなる事ができたが
統計的にみてみると、風俗嬢はやっぱり、どこかぶっ飛んでいる嬢が多かった。

その分仲良くなれることも多く、意外だったのだがみんな普通に
「私ヘルスで働いてる」
という事をあっさり話してくれることに衝撃を受けた。

そして、キャバ嬢と違い、絶対に営業はしてこない。
これは100%言えることだが、プライベートで知り合った人は
絶対に来てほしくないと言っていた。

何人かの風俗嬢と知り合いにはなったが、
「冗談で、じゃあ今度指名しに行くわ〜」
といっても、
「マジックミラーで見てNGにするから」
と100%の確率で言われた。

そして、すすきのでいうキャバクラ、いわゆるセクキャバの嬢というのは
あまり来ていなく(終わるのが遅いので、もしかしたら朝がたには来ているのかも…)
本来のキャバ嬢(ニュークラ嬢)が多かった。

だいたい女の子同士で複数で来る子達は、客の愚痴やら、黒服の愚痴やらを言って
激しく酔っぱらって、騒いで、歌って、帰る子達が多い。

一人で来る女の子は、バーテンの色恋客の可能性が高い。
ホストになんか行かないよ。的な感じで、バーに来ているが
結局色恋されている事には変わりはない。

客観的にみるといろいろわかって面白いが、裏を返せば
自分も同じように見られているんだなあと感傷に浸ってみた。

N嬢に初めて会ってからは早2年が経っていた。
そんなN嬢とはもうほとんど連絡もとってなく
それでいて1ヶ月に1〜2回は必ずメールはきていた。
さすがNo1嬢ともなると、そういうマメさは持ち合わせている。

雪も溶け始めて、季節は春になっていた。

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